J・K・ローリングの楽しい魔法界新シリーズ
シリーズ完結編『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』から5年ぶりとなる、新・5部作シリーズの第1作。
原作者のJ・K・ローリングが初めて脚本を手掛け、メガホンを執ったのは、シリーズ後半4作の監督を務めたデイビッド・イェーツ監督。
舞台は、「ハリー・ポッター」の物語が始まる約70年前、1926年のニューヨーク。
主人公は、人間と一緒にいるよりも動物に囲まれていた方が気がラク、という魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)だ。
ニュートは魔法動物を調査・捕獲する世界旅行を終え、ニューヨークに上陸。
この時代の米国の魔法使いは英国とは異なり、ノー・マジ(米国でのマグルの呼び名)から隠れて生活しており、「魔法使いの存在を、絶対に知られていはいけない」というのが不可侵の掟。
しかしニューヨークでは、正体不明の存在が突然現れ、建物や道路を破壊するという魔法臭がプンプンする事件が起きており、さらにニュートのトランクから魔法動物が逃走したことで、騒ぎを引き起こしてしまう。。
映画は過去作を彷彿させるような懐かしい色使いの映像で始まり、すぐに魔法の世界に引き込まれてしまった。
これまでと異なり原作はないが(動物図鑑のような薄い本があるだけ)、キャラクターや時代設定などが映像で視覚的に説明され、ノー・マジのジェイコブが魔法界を体験する様子を見ることで、ハリポタシリーズを知らない人でも、簡単にどのような世界なのか理解できるように作られている。
イチオシは、「ニュートのトランクの中の世界」と、そこに生息する「魔法動物」たち。
特別映像などでも公開されたが、モフモフのニフラー、ボウトラックルなど魔法動物がとにかく可愛くて、面白く、一つ一つに特徴がある。(個人的には、何の事前解説もなかったが、トランクの中にいたフンコロガシの動きがコミカルで好き笑)
ニュートのトランクの中の映像も、楽しくて想像力豊かな世界が広がり、中に入れてもらえたジェイコブが羨ましかった。
小さないたずら者から、獰猛なエルンペント(汗)、頼れる動物たちが色々登場するので、親子連れ、カップルにもおススメだ。
さらに、エディ・レッドメインとジェイコブ役ダン・フォグラーのコンビが最高!
映画を見る前はダンさんに対して、「この人で本当に良いの?」と少し疑問を感じていたが(すみません!)、映画を見て彼のコミカルで人間味のある演技の大ファンになってしまった。(アメリカ版ロン?2作目以降も、どうか出演しますように・・)。
エディ・レッドメインさんも、「内気で人見知り、心に傷を抱えていて、ちょっと頑固者」という、下手をすれば全く共感を得られないような主人公を、みごとな演技力で愛すべきキャラクターにしたのは流石。
本人もチャレンジだったと話しているが、エルンペントへの求愛行為を堂々とやってのけたのには感動した。。
そして最後のあっと驚くどんでん返しは、さすがJ・K・ローリングの脚本。戦闘シーンも迫力があった。
「ハリー・ポッター」は愛や友情、善悪の対立、死がテーマだったが、本作でもそれを引き継いでいる
主人公たちが大人になったことで、老若男女が楽しめる作品に仕上がっている。
ただ欲を言えば、イェーツ監督は続編(2作目)も手掛けるようだが、そうなると6作連続で同じ監督作品となり、そろそろ別の監督の別のアングルの魔法界を見てみたい気もする。(10年間続けてお疲れかとも思う・・)
また『ハリー・ポッターと呪いの子』が、今の時代にマッチした斬新な(ライトで奇想天外な)物語で成功したように、本シリーズも別の脚本家(スティーブ・クローブス)が共著などの形で参加した方が、世界が広がるように感じた。
いずれにせよ、ワクワクするようなストーリーで、所々にジーンとくる場面もあり、シリーズ1作目として最高の作品。早くも2作目が待ち遠しい。
80点(100点満点)
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