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「スコットランド独立投票」知っておきたい１０のこと～J.K.ローリングは住民同士の不和を危惧！

スコットランド独立の是非を問う住民投票がいよいよ現地時間18日（日本時間18～19日）に実施されます。ハリポタ作者J.K.ローリングさんが住むスコットランドが投票によってどのように変わるのか紹介します！
UPDATE：【スコットランド独立投票速報】（BBCワールドニュースより）
32の自治体中グラスゴーなど２６の自治体が開票。Yesが４６％、Noが５４％で、独立反対派の勝利が確定。（エディンバラはまだ開票していません)[最終更新13:20/19/9]

１．そもそも独立投票とは？
文字通り、英北部スコットランドが英国から独立するか否かを決める住民投票。賛成が過半数を占めた場合、英国から離脱して「独立国」となります。

２．なぜ独立したいの？その経緯は？
もともとスコットランドは独立王国。王の血筋が途絶えてからイングランドとの対立が激化し、1707年に対等合併され英国の一部になりました。（詳しい歴史はこちら）

しかし「対等」とは名ばかりで、スコットランド議会は閉鎖され、主要機関はイングランドに集中。不平等な併合に不満を持つ誇り高きスコットランド人は、その後も独立をめざし、たびたび行動を起こしました。そして1960年代に北海油田が発見されたことで、独立の機運が高まるきっかけに。油田・ガス田の約9割はスコットランド沖に集中しており、この税収を財源にすれば自立できるとの期待が高まりました。

さらに1999年、約300年ぶりにスコットランド議会が復活。2011年にはスコットランド独立を掲げるスコットランド国民党が、地元議会で初の単独過半数を獲得し、今回の住民投票が実施されることになったのです。

３．独立が決まった場合、何が変わるの？その影響は？
スコットランド側の変化　
・英国の通貨ポンドはこれまで通り使用　（しかし英政府は独立後のポンドの使用を認めず）
・EU（欧州連合）とNATO（北大西洋条約機構）加盟の維持。北欧型社会を目指す
・国防軍、放送当局を設置
・スコットランドに配備されている核兵器を撤去（核弾頭搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル「トライデント」は永久廃棄）
・社会保障などの権限がスコットランドに委譲
・財源は北海油田・ガス田の税収に。
・財政収支は初年度から赤字(汗)　（２０１６～２０１７年の財政赤字の予測：自治政府は約9500億円、英政府は約1兆5000億円と試算・・）

英国側への影響
・国土の約3割＋GDPの約1割＋人口の約1割を失う ⇒ 国力の低下（すでにポンドは下落傾向）
・英軍事力の大幅ダウン　～スコットランドには核ミサイル搭載の原子力潜水艦を配備しており、安全保障の要の場所。これを撤去するのは大きな痛手となります。
・英国の国旗が変わる可能性あり（ユニオンジャックはイングランド＋スコットランド＋アイルランドの国旗を合わせたものなので）

英国内・EUへの影響
・北アイルランドでも独立運動が起きる可能性が指摘されています。
・スペイン政府は認めていませんが、カタルーニャ州も年内に独立をめぐる住民投票を実施する方針。　

４．住民投票はいつ行われるの？
以下のスケジュールで行われます。
■投票
現地時間（英国夏時間BST）9月18日(木)午前7時～午後10時（日本時間18日15時～19日6時）

■投票結果
現地時間（BST）9月19日(金)早ければ午前1時30分から出はじめます（日本時間同日9時30分～）

全投票結果は、日本時間19日夜には分かると見られています。

５．そもそもなぜスコットランドに国民投票を許したの？
キャメロン首相が住民投票を許可したのは、2012年10月。独立への支持はそれほど広がらないと判断し（当時のYes派は約３０％で少なかった）、長年くすぶり続けている課題に決着をつけようと、「スコットランドの民意に従う」という理由で実施を許しました。

しかし、このように独立支持の勢力を過小評価したことで、「Yes」派は急激に拡大。現在の世論調査では、独立への賛否は拮抗しています。

６．誰が賛成・反対しているの？J.K.ローリングさんは？
■賛成派の有名人
エディンバラ出身の俳優ショーン・コネリーさん、映画『300＜スリーハンドレッド＞』などのジェラルド・バトラーさん、映画『ボーン・スプレマシー』のブライアン・コックスさん、ファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドさんなど。

■反対派の有名人
J.K.ローリングさんのほか、ヘレナ・ボナム=カーターさん（べラトリックス・レストレンジ役）、女優のジュディ・デンチさん、デビッド・ベッカム選手など。
ローリングさんは6月、英国残留を支持する運動「ベター・トゥギャザー」に1億7000万円を寄付し、独立賛成派からバッシングを受けました。

【独立賛成派と反対派の主張】
■賛成派　　無職の若者など、現状に不満を持つ層が支持する傾向
・スコットランドが独立すれば雇用が拡大され、地元の経済が活性化するだろうと期待
・油田の埋蔵量は2050年より先までもつから大丈夫(汗・・・byスコットランド国民党サモンド党首）
・ポンドは英国と通貨同盟を結ぶから継続使用できる（と期待）

■反対派　現状に満足する富裕層が支持する傾向
・EUへは再加盟交渉が必要で、加入できる保証はない。
・ポンド使用継続は英国政府が拒否しており、実現困難。安定した通貨のポンドが使えなくなるのはリスクが高い。
・北海油田の埋蔵量は確実に減り続けている。そんな不安定なものに依存すべきではない（byダーリング元財務相）
・通貨や税制の行方が不確か。
・スコットランドには、同地以外の市場や顧客で稼いでいる企業・金融機関が多いが、独立後も同じ様に安定したビジネスができるのか不安。

７．どちらが勝つと予想されているの？
賛否は拮抗しています。ガーディアン紙によると、17日の最新の世論調査では、反対派が５１％、賛成派が４９％で反対派が２％上回っています（態度未定を除く）。

この24時間前の調査では、独立反対が５２％、賛成が４８％（態度未定を除く）でした。

８.独立した場合、女王はどうなるの？
スコットランド国民党は、独立後もエリザベス女王をスコットランドの国王とするという立場を示しています。
一方、これまで独立について発言していなかった女王は14日、「有権者が、将来について非常に慎重に考えるよう願っています」とコメント。

米国には、「独立することになったら、J.K.ローリングが女王になるかも」と考えている人もいるようです(笑)。

Overheard at Boston airport: "If Scotland votes for independence, they might have JKRowling as queen." #indyref
— lecarlin (@lectoronto) 2014, 9月 13

９．独立が決まった場合、いつから独立国に？
英政府と協議の上、およそ1年半後（2016年3月）に独立国になります。

１０.独立しないと決まったら？
独立反対に決まった場合、キャメロン首相は資源の公平な配分や、スコットランド議会の権限拡大など、スコットランドの自治権拡大の誓約をしています。

また、現地では独立の賛否を巡る住民運動が過熱しており、たとえ独立しないことになっても、スコットランド社会が二分されるような深い傷跡が残るおそれがあります。

投票後、住民間にわだかまりが残ることを心配したローリングさんは、「私の頭は（独立に）ノーと言い、心もそのように叫んでいます。ですが、どちらに転んでも、土曜日までに私たち全員が仲直りすることを願っています」とツイートしています。