◆Hagrid, Rubeus--Hagridは英語hag-ridden(hag-ridとも言う)「悪夢に苦しんだ」から(Oxford English Dictionary)。Rubeusはラテン語で「木イチゴの茂みの」という意味。
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◆Hufflepuff--ハッフルパフ。Huff「ハーハーと呼吸する」とpuff「ぷっと吹くこと」からの造語。呼吸つながり?
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◆Hedwig--中世ドイツの女子修道者でシレジアの保護聖人ヘドウィグ(1174-?)から命名。
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◆Hogwarts--ホグワーツ魔法学校。ユリの名前から。イボイノシシ(warthogs)のアナグラム(綴り換え)にもなっている。
JKRはインタビューで「ホグワーツは自分の造語だと思っていたけれど、最近になって友人に『一緒にキューガーデンでユリを見たでしょ』と言われたの。そこには確かにホグワーツという名のユリがあって、そのことを忘れていたのよ!」とインタビューで話している。【3/17/2002】
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◆Hogsmeade--ホグズミード。Hog(s)は「ブタ」、meadeには「はちみつ酒」の意味がある。
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◆Knockturn Alley--夜の闇横丁。Nocturnally(夜に)のもじり(発音が同じ)。
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◆Lockhart, Gilderoy--ギルデロイ・ロックハート。Gilderoyはスコットランドのハンサムな盗賊の名前。(この固有名詞を使った表現で”higher than Gilderoy's kite:目に見えない程高く”、というのがある) Lockhartは、ローリング氏が第一次世界大戦の戦没者記念碑で見つけた名前(An Interview with J.K.Rowlingより)。
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◆Lupin, Remus--リーマス・ルーピン先生。Remus(ラテン語読みレムス)はローマ市の伝説的な創建者、ロムルスの双子の弟。2人は生後間もなく川に捨てられ、雌オオカミに育てられたと言われている。Lupin(ルピナス)の語源はラテン語Lupus(オオカミ)から。ルーピン先生はローリング氏の好きなキャラクターの一人。彼がオオカミ人間であることで、障害や病気に対し人々がどのように接しているかを比喩的に表現したとか(An Interview with J.K.Rowlingより)。
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◇レムス兄弟◇
レムスは双子の兄ロムルスに協力してローマ市を建設したが、ロムルスが市の回りを城壁で囲んだ時、その神聖な城壁を飛び越えてしまったため兄によって殺された。
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◆Madam Malkin's Robes for all Occasions--マダム・マルキン洋装店。Malkinはマルキン(malkin)は英国方言で「かかし」のこと。「だらしのない女」という意味もある。【修正9/12/2002】
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◆Malfoy, Draco--Dracoはラテン語で「龍(ドラゴン)」のこと。Malfoyはフランス語の造語でMal「悪い」+foi「信頼、信用(仰)」で「信用できない、不誠実」の意味。
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◆Malfoy, Lucius--Luciusと同名の歴史上の人物に、教皇の聖ルキウス(在位253-254)がいる。殉教した聖コルネリウス(コーネリウス・ファッジの語源といわれている)の後を継いで教皇になった人。..ということは、マルフォイ氏がファッジの次に魔法省大臣に??
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◆McGonagall, Minerva--Minervaの語源はギリシア神話
の女神ミネルバ(ギリシャ語でアテナ)。McGonagallは英国の風刺詩人Willam McGonagall(1830-1902)から命名? 実際には、ローリング氏の中等学校での英語の教師、シェパード先生がモデルと思われる。
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◇ミネルバ(アテナ)◇
ミネルバはゼウスの娘で、武装して生まれてきたほどの気性の激しい戦いの女神。しかし戦うのはもっぱら自分の国や家庭を守る為で、戦いのための戦いは好まなかった。英雄や王侯の守護神とされるが本質は市民生活の保護者で、手芸や農業の守り神でもある。のちに知性や理性の神とされ、一生を娘として過ごした事から純潔の化身ともされた。アテナイ市の守護者で、アクロポリスのパルテノン神殿は彼女に捧げられたもの。フクロウがそのお気に入りの鳥。(「ギリシャ神話」山室静著より)
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◆Merlin--マーリン(蛙チョコのカード、マーリン勲章などの名前でも登場)。アーサー王伝説
に出てくる大魔術師マーリンのこと。アーサーやその父ペンドラゴンを助け、数々の奇跡を起こす。最後は妹に手伝わせて作った星見の塔に隠棲したとも、恋人の魔法使いヴィヴィエンによって永久に外に出られない部屋に閉じこめられてしまったとも言われている(様々な伝承あり)。ダンブルドアのモデルとも言われている。
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◆Moony--ムーニー、ルーピン教授のニックネーム。Moonyは「月の」という意味。満月の晩に狼に変身するところから命名。
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◆Morgana--モルガナ。カエルチョコのカードに出てくる魔法使い。Morgan le Fay(モルガン=ル=フェイ)とも呼ばれる。Morganaはアーサー王伝説に登場する、王の異母姉の妖精。アーサー王の息子のモルドレットをそそのかし、円卓の騎士を破滅に導いたとされる。治癒力を持ち、大魔術師マーリンは彼女の師。ケルト神話に出てくるダーナ神族の一人「モリガン(Morigan)=戦いの女神」がMorgan le Fayの前身と言われている。(一部幻想図書館参考)
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◆Muggle--ローリング氏曰く、Muggleは「間抜け、だまされ易い人、カモ」という意味のmugからつけたとか。mugglesには米俗語で「マリファナ」の意味があるので要注意。
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◆Norris, Mrs.--ミセス・ノリス。イギリス女流作家ジェーン・オースティンの「マンスフィールド・パーク」に出てくるノリス夫人(ノリス伯母/Mrs.Norris)から命名。 ケチで意地悪なばあさんで、主人公に冷たく接する。ジェーン・オースティンはローリング氏の好きな作家の一人。
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◇ジェーン・オースティン(1775-1817)◇
イギリスにおいてブロンテ姉妹と並ぶ代表的な女流作家。代表作「自負と偏見」は、サマセット・モームの“世界十大小説”の中にリストアップされているほど。人間に対する洞察力や細部まで考え抜かれたあらすじは秀逸だが、主題が常に”結婚相手探し”なので読者を選ぶ所が.. 「分別と多感」という作品が「いつか晴れた日に」という題名で映画化され、1995年のアカデミー最優秀脚色賞を受賞した(おススメです。故アラン・リックマンさん、エマ・トンプソンさん、イメルダ・スタウントンさんも出演)。
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◆Padfoot--パッドフット、シリウス・ブラックのあだ名。Padは「動物の肉球(足の裏の柔らかい部分)」のこと。足に肉球がある動物(犬)に変身したので付いたニックネーム。
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◆Patil, Parvati--パーバティ・パチル。Parvatiはサンスクリット語で「山の女神」のこと。ヒンドゥー教のパールバティー(シバ神の配偶神)。Patilはインドの「村長」のこと。
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◆Peeves--ピーブス。英俗語のPeeve「いらだち、不平」が語源?。
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◆Pomfrey, Poppy--マダム・ポンフリー(校医)。Poppyはケシのこと。ケシのエキスから採れるアヘンは紀元前7世紀のアッシリア帝国で既に鎮痛剤として使われており、世界最古の薬の一つと言われている。
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◆Potter, Harry--ハリー・ポッター。Harryはローリング氏の大好きな少年の名前。「自分に息子がいたらハリーと名づけていただろう」と語っている。Potterは、ローリング氏と同じ学校に通っていた人の名前から命名。JKRはそのポッターさん宛てに「Harryの苗字を色々考えたけど、Rowlingというのもしっくりこないし、あなたの名前をstolenしました」との手紙を(by OwlPostの文字とふくろうの絵がついている楽しい便箋で)送付した。〜イギリスChannel5の特番"JK Rowling And Harry Potter Express"より。Noriさんからの情報です、Thanks!
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◆Prang, Ernie--アーニー・プラング。Prangには「衝突する、(車を事故で)損傷する」の意味が(運転手がこんな名前で良いの?)
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◆Privet Drive--プリベット通り。Privetは「セイボウイボタ(モクセイ科イボタノキ属の常緑低木で垣根に利用)」のこと。
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◆Prongs--プロングズ、ジェームズ・ポッターのニックネーム。Prongは鹿のツノなどの先の尖った部分のこと。(ツノのある)牡鹿に変身したところから命名された。
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◆Ravenclaw--Ravenは「ワタリガラス(不吉の鳥)、clawは「鉤爪」のこと。Ravenclawで「ワタリガラスの爪」という意味。
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◆Shunpike Stan--スタン・シャンパイク。Shunpikeは「裏道、わき道」のこと。バスの車掌だけに...
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◆Slytherin, Salazar--Salazarはポルトガルの独裁者、アントニオ・サラザールから。Slytherinは、slithering(<slither「ヘビがズルズル進む」)のもじりと考えられている。
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◇アントニオ・サラザール(1889-1970)◇
1918年コインブラ大学経済学教授。政界に入り国家財政をみごと再建し「ポルトガルの救世主」に。32年首相に就任後、徐々に独裁色を強めていく。33年ファシズムとカトリック精神を基調にした憲法を発布。政党政治の否定、言論の自由の圧殺を行う一方で、家族主義、保護主義的な改革を続行し、事実上独裁者に。68年まで政権につくが、その間ポルトガルの経済は極端に低下、ポルトガル人の国外への大量移民を生み出した。
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◆Scabbers--スキャバーズ(ロンのペットのネズミ)Scabには俗語で「卑劣な奴、人間のクズ」という意味がある。
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◆Snape, Severus--セブルス・スネイプ。Snapeの出典は地名。イギリス・ノースヨークシャーにスネイプという小さな村があり、15世紀の同市の有力者ジョージ・ネビルはそこにスネイプ・ホールを建てたとのこと(サチコさんからの情報です。Thanks!)。ちなみに英語のSnapeには方言で「冷遇、叱責、妨害」という意味がある(Oxford English Dictionary)。
一方、Severusの語源はラテン語severus「厳しい、苛酷な」から。
スネイプのモデルは3人いると言われ、一人はローリング氏のタッツヒル(ウェールズ・グローセスター州)時代の小学校の担任教師ミセス・モーガン、二人目はチェプストウ(ウェールズ・モンマスシャー州)のワイディーン・コンプリヘンシブ・スクール(中等学校)時代の科学主任、ジョン・ネトルシップ氏とのこと。三人目は不明。(スコラスティック社によるインタビュー、CBBCより)【1/10/2002】
HPGalleriesに、スネイプ先生のモデルの一人と言われている、ネトルシップ先生の写真と投稿されており、「私の(学校への)期待は多くの職員や生徒が抱いたものと違っていたため、厳しい先生だと思われたのだと思う。私は人の正体をすぐ見抜いてしまうので、隠し事をしている人やプライバシーを大切にする人を動揺させてしまうようだ」と語っている。【4/4/2002】(情報源はLeaky Cauldron)
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◆Sinistra Prof.--シニストラ先生(天文学の先生)。Sinistraはラテン語sinister(「左の、左回りの」という意味)の女性形。太陽系惑星は左回りだけに...
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◆Trelawney, Sybil--ゼウスの娘でSybillaという巫女がいた所から、ギリシャ・ローマ神話では「巫女」のことをsybil(sibulla)と呼んだ。彼女達はトランス状態に入り、予言の言葉をシュロの葉などに書いた。TrelawneyのモデルとしてEdward John Trelawney(1792-1881)という英国の冒険家・作家がいる。
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◆Vablatsky, Cassandra--カサンドラ・バブラツキー(「未来の霧を晴らす」の作者)。Vablatskyは、有名な霊媒師 H.P.Blavatsky(ブラバツキー)から。19世紀後半のオカルト界全般に多大な影響を及ぼした女性。Cassandraはギリシア神話
に出てくるカッサンドラ王女のことかと思われる(トロイの木馬が怪しいと予言したが誰もそれに耳を傾けなかった)。
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◇カッサンドラ◇
ギリシア神話に出てくるプリアモス王の娘。アポロンの愛を受けて予言の力を授かったが、のちに彼を裏切ったので神は怒り、彼女の予言には誰も耳を傾けぬようにした。トロイ戦争が終わると捕えられ、アガメンノンに連れられて、悲劇的な死を遂げる。英語Cassandraには「(世に認められない)凶事の予言者」という意味がある。
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◆Voldemort--ヴォルデモート。フランス語からの造語。Volは「盗み」や「飛ぶこと」、deは「〜の(英語のofに当たる)」、mortは「死」を意味。Voldemortで「死を奪う」又は「死の飛翔」を表わす。
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◇ちょっと真面目な語源ばなし 〜Vol編〜◇
フランス語Volには「盗む」と「飛翔」という全く違った意味があって何だか不思議ですよね(ハリポタの語源とはまったく関係ないですが)。もともとVoler(Volの動詞)の語源はラテン語のVolare(原形Volo)で、最初は「飛ぶ」という意味しかありませんでした。16世紀に入り、鷹狩りをする際にfaire voler l'oiseau(鳥を飛ばす)→chasser avec un oiseau,un faucon(鳥・鷹で狩りをする)→faire prendre au vol(飛び立たせる)→voler quelque chose(何かを追う)と変化し、「盗む」の意味を持ったようです。日本語の「ぼられる」も案外Volが語源なのでは、と思うのですが? 因みに、ラテン語Voloには「欲する」という意味もあるため、Voldemortは「死を望む」の意だとする説もありますが、こちらはVelleという動詞の原形なので、Voldemortの語源とは関係ないように思われます。ま、細かいことですが…(^^ゞ |
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◆Weasley, Arther--アーサー・ウィーズリー。Weasleyの語源はWeasel「イタチ」。Artherは、アーサー王伝説の主人公アーサーから命名。
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◇アーサー王伝説◇
6世紀頃ブリトン族にアーサーという英雄が実在したらしいが,アーサー王は伝説の中で形成された。古くは7世紀にウェールズで書かれたものが残っている。伝説の元となったのはギリスのジェフリー・オブ・モンマスの「ブリテン烈王史」(1139頃)だとされる。構成は書物により違うが、主にアーサー王の生涯、円卓の騎士の物語(ランスロットの恋、トリスタンとイゾルデ、聖杯探求)から成っている。(アーサー王伝説については、「アーサー王物語」がオススメ)
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◆Weasley, Molly--アーサー王伝説にMolly(Mary,Marion)という名の女性はいないようなので、その出典はユリシーズの女主人公Mollyかとも思われる。作中不貞な妻として描かれているが、『オデュッセイア』のペネロピーも不貞であったという伝説があり、モリーはこのペネロピーの両面をあわせ持っているといわれている(ウィーズリー夫人とはかけ離れた役柄だけど…)。又は実在の人物で、Molly Maguire(モリー・マグワイア)という怖い女性がアイルランドにいた(秘密結社の一員で、立ち退きに反対して1840代に官吏を威嚇した)。
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◇ユリシーズ◇
アイルランドが生んだ20世紀最高の作家の一人、ジェームズ・ジョイス(1882-1941)の代表作。「ユリシーズ」とは、前出のオデュッセウスの英語読み。ジョイスはホメロスの古典と対応させながら、1904年6月14日のダブリンを描いた。市内を歩き回る中年広告マン、ブルームは地中海をさまよう英雄ユリシーズに、不貞の妻モリーは貞節なペネロピーに、文学青年スティーブンは父を探すテーレマコス、モリーの愛人ボイランは誘惑者アンティノウスに重なり合う。このような対比の中で、挿話ごとに文体を変化させ、意識の流れを追う内的独白をはじめとする多彩な語り口によって、親子の問題・追放と回帰といった主題を浮かびあがらせている。
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◆Weasley, Percy--パーシー・ウィーズリー。Percy(=Percival)はアーサー王伝説の円卓の騎士の一人。
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◆Weasley Ron(Ronald)--ロン・ウィーズリー。Ronはアーサー王伝説に登場する、王の信頼する槍の名前。ロンのモデルはローリング氏の中等学校時代の親友、ショーン・ハリス(An Interview with J.K.Rowlingより)。
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◆Wormtail--ワームテール、ピーター・ペティグリューのあだ名。Wormは「ミミズみたいな虫」のことで、tailは「しっぽ」。ミミズみたいな尻尾がついた動物(ネズミ)に変身したところから命名。
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