見どころ
ハリー・ポッター」の世界がここに!
現代のファンタジー文学として、20年にわたり世界的な人気を誇る「ハリー・ポッター」シリーズ。
その物語の背景には、イギリスをはじめ世界各国に伝わる魔法や呪文、占いなどが数多く存在します。
本展では原作に基づき、ハリーが通ったホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、 大英図書館の所蔵品を中心に、
古くは4世紀にまで遡る貴重な資料の数々を展示します。
日本で開催される 大英図書館史上初の国際巡回展!
本展は大英図書館が2017年に企画・開催した展覧会“Harry Potter: A History of Magic”の国際巡回展で、2018年のニューヨークに続き、 ついに日本で開催されます。
大英図書館による大規模な展覧会が日本に巡回するのは初めてのことで、その充実したコレクションの一端をご覧いただけます。
日本初公開!J.K.ローリングの直筆原稿
「ハリー・ポッター」シリーズの原作者J.K.ローリングによる、日本初公開の直筆原稿やスケッチなどの資料も紹介します。
展示内容
会場は「魔法界への旅立ち」から始まり、ハリーが学んだホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って「魔法薬学」「錬金術」「薬草学」「占い学」「天文学」「占い学」「闇の魔術に対する防衛術」「魔法動物飼育学」と、作者の執筆原稿やハリポタ後を紹介した「過去・現在・未来」の10章で構成され、科学が発達していなかった時代の人々が信じた魔法や魔術の記録を展示します。
現代のファンタジー文学として、20年にわたって世界的人気を誇る「ハリー・ポッター」シリーズの原作者J.K.ローリングの直筆原稿やスケッチに加え、大英図書館が所蔵する貴重な書籍や資料などを紹介し、ハリー・ポッターの世界の底流にある言い伝えや魔法の歴史を紐解きます。
第1章:旅 The Journey
1990年6月、マンチェスターからロンドンへ向かう列車で、無名の作家J.K.ローリングに アイデアが舞い降りました。それから17年の間に書き上げられた計7冊の「ハリー・ポッター」 シリーズは、その後20年以上にわたり、世界各地で愛される作品となるのです。
日本では 松岡佑子訳にて1999年に出版。本章ではイギリスでの出版のきっかけとなった8 歳の読者の感想文や、イラスト版「ハリー・ポッター」を描いたジム・ケイの原画をご覧いただきます。
ジム・ケイ《『ハリー・ポッターと賢者の石』の9と3/4番線の習作》
ブルームズベリー社蔵©Bloomsbury Publishing Plc 2015
ジム・ケイによるこの絵は、挿絵入りの『ハリー・ポッターと賢者の石』の表紙に 使われた作品の下書きです。新学期を前にホグワーツ特急に乗り込む生徒で混み合うキングズ・クロス駅の9と3/4番線が描かれています。
第2章:魔法薬学 Potions
魔術において、薬作りは欠かせない技術であり、化学や
医学が発達していなかった時代には特に重要とされ、 ホグワーツ魔法魔術学校においても必修科目でした。
薬は病気を治すだけでなく、人間の外見を変えたり、 恋心を引き起こしたりすることもできると考えられていま した。本章では、薬に関わる古今の記録を紹介します。
ロンドンで開かれた本展では、ジム・ケイさんが描いたスネイプの絵や、ロンドン南部バタシーのテムズ川から1861年頃引き揚げられた大鍋、薬学の教師が生徒に教えている「魔法薬学の授業」の版画(15世紀)、本物のベゾアール石、ローリングさんと編集者が添削した『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(第9章謎のプリンス)草稿などが展示されました。
ヤコブ・マイデンバッハ『健康の庭』1491年
大英図書館蔵 ©British Library Board
これは中世に印刷された初の 博物学辞典で、主に植物、動 物、鳥、魚、石について書かれ ています。木版画による挿絵は、 手作業で色付けされています。
第3章:錬金術
錬金術とは、卑金属を人工的手段により貴金属に転換する術のこと。「 ハリー・ ポッター」シリーズ第1作に登場する「賢者の 石」は、永遠の命を与える「命の水」を生成 することができると信じられ、中世ヨーロッパの 錬金術師がその獲得に奮闘しました。
本章では、賢者の石の作り方が記された4メートルもある希少な巻物『リプリー・スクロール』や、 歴史上、最も美麗な錬金術解説書と言われる書籍『太陽の輝き』などを展示します。ロンドンの本展では『ハリー・ポッターと賢者の石』のクィレル先生の場面の作者手書き原稿などが展示されました。
第4章:薬草学 Herbology
薬効を持つ植物は、古くから薬の原料として使用され、世界各地の書物に記録が残されてきました。「ハリー・ポッター」シリーズ にも、引き抜くと叫び声をあげる「マンドレイク」をはじめ「ヘレボルス」「ハナハッカ」などの薬草が魔法薬の材料として登場しますが、これらはいずれも実在する植物です。
ロンドンではJKRによるスプラウト先生のイラストなどを見ることができました。
「薬草書」 15世紀
©British Library Board 中世には、多くの学者が自ら写本を編纂して、個々の
植物の性質を記録し、図解しました。この薬草書は、
1440年頃、イタリア北部のロンバルディアで作られたも ので、裕福な地主のために編纂されたと考えられてい ます。真に迫る植物画がふんだんに描かれ、それぞれの 植物の名称について簡潔に説明されています。
第5章:呪文学 Charms
「アロホモーラ(開け)「」ウィンガーディアム・レヴィオーサ(浮遊せよ)」など、魔法の力を持つ言葉は、「ハリー・ポッター」シリーズに欠か せません。本章では、誰もが知っている呪文「アブラカダブラ」に 初めて言及したとされる13世紀の書物など、呪文に関する文献や、 魔女に関するアイテムを紹介します。
作者が描いたダイアゴン横丁の入口(壁を叩くとどのように横丁が現れるか)イラストやジム・ケイさんの同横丁全景のスケッチ、ハリポタに登場した死の呪文「アバダ ケダブラ」の語源となったアラム語「アブラカダブラ」が書かれた13世紀の『医学の書』などが展示されます。
J.K.ローリング《ダイアゴン横丁の入り口のスケッチ》
1990年 J.K.ローリング蔵 ©J.K.Rowling
この絵は『ハリー・ポッターと賢者の石』の冒頭で、ハグリドの傘で3度たたいたときにダイアゴン横丁のアーチ 形の入口がどのように現れるかを、6段階で示しています。 レンガがひとりでに並び方を変えてアーチ形の入口が できる様子が細部まで描き込まれ、J.K.ローリングが 本に登場する魔法をできるだけ現実世界の論理に 根付いたものにしようとしていたことがうかがえます。
第6章:天文学 Astronomy
天文学はホグワーツ魔法魔術学校の必修科目。物語には「ルーナ・ラブグッド」や「シリウス・ブラック」 など、月や星に関わる名前が付けられている人物が登場します。
古くから人は、星はこの先に起こりうる 出来事を示すものと考え、天文学を発達させてき ました。
ここでは天文学で用いられた天球儀や、 レオナルド・ダ・ヴィンチが40年にわたって取り組んで きた科学的考察を書き綴った手稿などを展示します。 大英図書館が所蔵するレオナルド・ダ・ヴィンチの
「天体にまつわるメモとスケッチ」は世界に現存する約30冊のうちの1冊です。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
「天体にまつわるメモとスケッチ」
1506-1508年頃 大英図書館蔵 ©British Library Board
左右が逆になった独特の鏡文字で書かれた手稿には、地球が 宇宙の中心であり、太陽と月がその周りを回っている挿絵と、太陽・ 月・地球の配列に基づく光の反射が示されています。
第7章:占い学 Divination
「ハリー・ポッター」シリーズでは、「闇の帝王を倒す力を持つ男の子が
7月の終わりに生まれる」という予言が、物語を通じて重要な役割を果た します。本章で展示する資料からは、水晶占い、手相占い、タロットや 茶葉占いなど、未来を予知するさまざまな占いが、世界の異なる地域で 行われていたことが分かります。
『古代エジプト占い師最後の遺産』(こちらは東京会場で展示)
1775年 大英図書館蔵 ©British Library Board
エジプトの占術を集めたこの冊子は、安価に 印刷され、中産階級層向けに販売されました。 掌のしわの数や場所も未来の秘密を握っていると書かれています。
第8章:闇の魔術に対する防衛術 Defence Against the Dark Arts
例えば、ホグワーツ魔法魔術学校の授業でもスネイプ先生やルーピン先生が 生徒たちに紹介した狼人間、河童といった闇の生物から身を守るものとして、 魔除けのお守りや呪文などが生まれたのです。本章では、これら忌み嫌われて いた生物や、それに対抗する魔除けの方法を記した世界各地の資料を紹介します。
ジム・ケイさんのルーピン先生のスケッチ、作者による「ハリーがプリベット通りに」来たイラスト、16世紀のバジリスクの絵、日本のカッパに関する文献などが見られます。
『動物誌』 1595年
大英図書館蔵
©British Library Board
第9章:魔法生物飼育学 Care of Magical Creatures
中世の寓話集や近世の博物学の本などには、実在する動 物と並んで、ユニコーン(一角獣)やフェニックス(不死鳥)、ドラゴン といった想像上の生物が描かれていました。ライオンの胴体に 人間の頭部と鳥の羽を持つスフィンクスのように、種が混ざり 合った生物も見られます。ホグワーツ魔法魔術学校においては、 第3学年からの選択科目で、魔法動物の飼育に秀でた生徒は、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の主人公ニュート・
スキャマンダーのように、魔法動物学者になる者もいました。
本章では、ジム・ケイさんの不死鳥のイラストや13世紀や16世紀の不死鳥の文献、日本の18世紀の人魚(実は偽物でサルの上半身に魚の下半身をつけたもの)、作者が描いたピーブズやほとんど首無しニック(ほとんど首なしになる絵)のイラストなどが展示されます。
マヌエル・フィレス『動物の性質について』
16世紀 大英図書館蔵
©British Library Board
このユニコーンは16世紀のギリシャの写本に描かれたもので、東ローマ帝国の詩人マヌエル・フィレスの自然界についての詩が添えられています。この詩によるとユニコーンはイノシシの尾とライオンの口を持ち噛まれると危険な動物です。
第10章:過去、現在、未来 Past, Present, Future
J.K.ローリングが生み出したハリー・ポッターの魔法世界は、発刊から20年以上経った今も、世界中の読者をひきつけてやみません。
ここではさまざまな言語に翻訳 された書籍や、大人になったハリーの姿を描いた舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』の 衣装を展示し、今も広がり続ける「ハリー・ポッター」の世界を紹介します。
ロンドンの本展では作者の手書き原稿や不死鳥の騎士団の構想(細かい出来事が時系列で記録)、スネイプのデッサンなども展示されました。
大英図書館の展示風景
©Easy Tiger Creative
アプリで鑑賞
「グーグル・アーツ&カルチャー」を使い、スマホやPCで見学可能(無料)。トップページ以外は英語です。
■鑑賞方法:鑑賞できる内容など、詳細はこちら
こちら(グーグル・アーツ&カルチャー「ハリー・ポッター展」)をクリック/タップ
公式ガイドブックで鑑賞
2種類のガイドブックが発売中!くわしい内容 中身の写真(こちらと こちら)
■『ハリー・ポッターと魔法の歴史』:実際の展示室のようにチャプターが分かれており、各セクションに展示されたものをじっくり日本語解説付きで見ることができます。おススメ
■『ハリー・ポッターと魔法の歴史をめぐる旅』 ↑の『魔法の歴史』のダイジェスト版
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