リアルな恋愛×危険なファンタジー
世界中を熱狂させる壮大なるサーガ
美しきヴァンパイア・エドワードと人間の少女ベラの禁断の恋に始まったトワイライト・サーガ。本作は一大ブームを巻き起こしたステファニー・メイヤーの全4作からなるベストセラーシリーズ、待望の映画化第2弾である。
シリーズの魅力は、誰もが共感するリアルな恋愛と、危険で魅惑的なファンタジーが見事に混ざり合う、唯一無二の世界観にある。この究極のドキドキがつまった魅惑的なストーリーに引き込まれるファンは後を絶たず、映画化第1弾『トワイライト〜初恋〜』の大成功から、原作シリーズは累計7,000万部を突破するなど熱狂的ファンを増殖させ続けている。 ヒートアップを続けるファンの熱烈な期待に応えるべく、第2弾は全てがスケールアップした超大作となった。監督はファンタジー超大作『ライラの冒険/黄金の羅針盤』で独特の世界観を映像化したクリス・ワイツ。イタリアのモンテプルチアーノでの大規模なロケーション撮影を敢行、大幅に広がる世界観を見事に表現している。
出演は、前作で大ブレイクを果たしたクリステン・スチュワートとロバート・パティンソン。主人公・べラ役のクリステン・スチュワートは、運命の恋に全身でぶつかっていく18歳の少女の痛々しいまでのひたむきさを、体当たりで表現している。また、愛のためにヴァンパイアの永遠の命を投げ出そうとするエドワード役のロバート・パティンソンも、迫真の演技でこれに応じる。そして特 筆すべきは、べラの幼なじみの青年ジェイコブ役を演じるテイラー・ロートナー。鍛え上げた筋肉で14キロの増量を成功させ、原作通り“人間離れした”肉体を完成させた。その肉体美と傷付いた主人公を温かく包む役どころで、早くも世界中の女性の話題をさらっている。 新たな出演者として加わったのは『I am Sam アイ・アム・サム』『宇宙戦争』で天才子役の名を欲しいままにした、ダコタ・ファニング。3000年の歴史をもつ最強ヴァンパイア・ヴォルトゥーリ族のジェーンという重要な敵役を演じる。15歳に成長した彼女の本格的な悪役ぶりに大きな注目が集まっている。さらに、ヴォルトゥーリ族のリーダー・アロを演じるのはイギリスの演技派俳優マイケル・シーン。第81回アカデミー賞作品賞にノミネートされた『フロスト×ニクソン』でのデビッド・フロスト役が記憶に新しい。その定評ある演技で最強かつ最古のヴァンパイアのリーダーを存在感たっぷりに演じている。
トワイライト・サーガは現在映画化第3弾となる「エクリプス」を撮影中である。少女とヴァンパイアの禁断の恋は、3,000年を超えるヴァンパイアの掟への挑戦であり、新たなる種族を巻き込んで、強大な敵を呼び覚ましてゆく。第1弾『トワイライト〜初恋〜』に始まった大ヒット・シリーズは、その勢いをさらに増し、新たな伝説を生み出していく。
|
ベストセラー「トワイライト」シリーズの映画化
ニューヨークタイムズ紙のベストセラーシリーズ本に52週以上ランクインし続け、550万部以上売り上げたステファニー・メイヤーの小説「トワイライト」は一大センセーションとなり、その熱狂的なファンが映画化を待ち望んだ。
「トワイライト」関連のファンサイトは100を越え、ニューヨークタイムズ紙のおすすめ本、パブリシャーズ・ウイークリー誌のその年のベスト本、アマゾンの過去10年のベスト本、ティーン・ピープル誌のおすすめ、全米図書協会の若者向けのベスト10冊と読書嫌いの人のための10冊に選ばれた。そして現在、20以上の言語に翻訳されている。
その映画化第1弾『トワイライト〜初恋〜』(08)は、待ちに待ったファンに向けて全米では2008年11月(日本は2009年4月)に公開された。女子高生とヴァンパイアとの禁断の恋を描いた映画は、最終的な興行収入は全世界で3億5千万ドルを越えた。この大ヒットを受け、続いて映画化第2弾『ニュームーン/トワイライト・サーガ』が動き出す。前作『トワイライト〜初恋〜』をヒットに導いた熱いロマンスやアクションやサスペンスをさらにスケールアップさせ、今回も世界を相手に驚異的な興行成績を狙う。
製作について
前作に続いてプロデューサーを務めるウィック・ゴッドフレイは、本作はただの続編ではないと力説する。「難しかったのは、1作目の世界の繰り返しにしないことです。ストーリーは進み、世界は広がる。私たちは登場人物を変化させ、視覚的にも新しい世界を見せていかなければならないのです」と語る。そこで、今回の監督に抜擢されたのが『アバウト・ア・ボーイ』(02)や『ライラの冒険/黄金の羅針盤』(07)など数々の原作を見事に映画化してきた手腕を買われたクリス・ワイツだ。ゴッドフレイはこう語る。「クリスには、これまでキャラクターを深く掘り下げ、いろいろな特殊効果を駆使してファンタジー映画を作ってきた実績がある。それに若い俳優を使うのも上手い」さらに「原作の小説を作り変えるようなことはしたくなかった。クリスは原作が大好きで、どうやればリアル感を保ちながらストーリーを映像に蘇らせることができるかを心得ている。そこが重要だった。空想上の存在が登場するとはいえ、この物語は絶えず現実世界に重なり合うのです」
ワイツ監督は、最初こそ原作を知らなかったが、読むなりファンになった。監督はこう語る。「本を読み、1作目の映画を劇場に観に行ったんだ。そのすごく深い感情の応酬にとても興奮し、映画を観ながら、その世界に浸りたいという衝動に駆られた。まさに今回、そのチャンスに恵まれることになったよ。これまで手がけてきた作品とは多少異なるが、長年一緒にやってきた優秀なスタッフに力を借りた」原作に忠実であることが監督の一番の責務であることは、監督本人も分かっていた。
「とにかく原作から外れたことをやってないか、その点には細心の注意を払った」とワイツは語る。そして原作者のステファニー・メイヤーに詳細にわたって話を聞いたという。「ステファニーにメールで、抽象的な質問はもちろん実際的な質問もぶつけたよ。ジャスパーの力はベラに作用するのか、とかね。そのおかげで、原作との一貫性を保つための要所要所をしっかり押さえられたよ」と監督は語る。メイヤーはワイツの努力に感心する。「監督はよく聞いてくれたわ。静かな人だけど、同時に自分の求めているものがはっきりしていて、些細なことにまで興味を持ってるの。例えば、この人は靴を履いてる?とか細かくチェックしていた。原作に忠実に作りたいという心の表れね。私は自分の作品がいい人の手に委ねられていると確信したわ」
キャストについて
『トワイライト〜初恋〜』(08)によって、若い主役の2人は世界的なスーパースターになった。ベラ・スワンを演じたクリステン・スチュワートと、魅惑的なヴァンパイア、エドワードを演じたロバート・パティンソンの2人だ。今回はそこにテイラー・ロートナーが前作に続くジェイコブ・ブラック役で加わり、大きく展開してく。クリス・ワイツ監督は、主役俳優がすでに決まっているという珍しい状況の中で、今回の製作に加わった。監督は語る。「今回はキャサリン・ハードウィック監督が前作で起用したすばらしい俳優陣を継続できたのが幸運だった。彼らと仕事ができたのは、本当に楽しい経験だったよ」
クランクインするに当たり、ワイツはこれまでしたことのないような事をした。この作品や役について監督の考えをまとめた20ページに及ぶ資料を配ったのだ。「僕はそれ を指導ガイドと呼んだ」と監督は説明する。「みんなに資料を配ったのは、本作の設定やスタイルを事前にできるだけ知っておいてもらいたかったからだ。その分、撮影当日には自由に演じられるようになる。若い俳優や優秀なスタッフを自分の決めた判断に縛りたくない。できるだけ伸び伸びとやってほしかった」 スチュワートはワイツ監督について語る。「監督はすごく考えが整理されていて、とっても協力的。この作品に私たちと同じように真剣に取り組んでくれてよかったわ」
本作のベラは前作より自分の年齢や死を意識している。ベラについてクリステン・スチュワートはこう語る。「ベラは自分の状況をかなりしっかりコントロールしている。自分を人に与える代わりに、同じものを与えてもらおうと思っているの」
ロバート・パティンソンも監督が前作の世界をきちんと把握していることに感動した。「前作で同じ役を演じていたとき、クリステンと僕にはシリーズ全体を通してどのようにそれぞれの役を変化させていくか、はっきりとしたビジョンがあった」とパティンソンは語る。「監督はそれをすごく理解してくれた。監督自身もいいアイデアをたくさん用意していて、それを裏付ける下調べも万全だった」
パティンソンはエドワードのことをヴォルトゥーリ族と対照的に「不本意なヴァンパイア」と称する。「ヴォルトゥーリ族は自分たちをモンスターだと思っているが、それに満足している。でもエドワードを愛しているという人間を見て、そんなこともありうるだろうと考える。そのことにエドワードは実質的に救われるんだ」
前作には出番の少なかったジェイコブ・ブラックが今回は大きくクローズアップされる。本作で、ジェイコブは一族をヴァンパイアの餌食から守るため狼男になるよう選ばれる。「ジェイコブは変身を体験する」とロートナーは語る。「ジェイコブの肉体が前作とは違うことに気づくはずだ。まず14キロほど筋肉がついた。肉体が変わり、精神面も変わっている」さらに学生時代からスポーツをやり、武術も学んだロートナーは、運動経験を活かし、ほとんどのスタントの場面を自ら行った。
ジェイコブのベラとの関係も変わる。「ジェイコブがベラとの関係を深めていくのが、すごく楽しみな変化だった」とロートナーは語る。「ジェイコブは太陽となって、ベラを目覚めさせ、生き返らせる。しかしエドワードが戻ってきて、すべてを失う」
前作の共演者と再びチームを組んだ役者たちは、懐かしくもあり、刺激にもなったようだ。「みんなすごく変わっていた」とスチュワートは語る。「ほぼ1年ぶりの再会だったけど、すぐに別れたときの瞬間に戻れた。すごく自然な感じだった」
ヴァンパイアとヴォルトゥーリ族
アシュリー・グリーン演じるアリス・カレンは、今回彼女の本領を発揮する。「ベラは言わばアリスの親友ね」とグリーンは語る。「アリスはベラにとって一番いい事を望んでいるの。アリスからすれば、ベラがヴァンパイアになってカレン家と一緒にいればいいと思っているけど、ベラをできるだけ人間のままでいさせてやりたいというエドワードの願いを大事にしたい。でもアリスには違う未来が見えている」
グリーンはアリスの撮影で美しい洋服と車を飛ばすのが大好きなところだと言う。「衣装デザイナーのティッシュ・モナハンがステキな衣装を見つけてきたの。白いシルクのトレンチコートとか、マイケル・コースのストライプのジャケットとか。それを黒いタイツ、ぺたんこのバレエシューズ、長い赤の手袋と組み合わせたのよ。すごくいい感じで、とってもアリスっぽかった。それにイタリアの街中を美しいイエローのポルシェで風を切って走るシーンもあった。撮影予定の前日に、1度、運転講習を受けただけだったの。正直言って、何回か建物を傷つけそうになったわ」
本作で初めて登場するのが、ヴォルトゥーリ族だ。何世紀も存在し、莫大な力を持ち、ヴァンパイアの法を定め、コミュニティをまとめるヴァンパイアの王族だ。その王族のリーダーが、マイケル・シーン演じるアロだ。『アンダーワールド』シリーズで、ヴァンパイアの奴隷になる狼男を演じているシーンにとって、なじみのない世界ではない。でもシーンは、ヴァンパイアと狼男の両方を体現した者が現場にもう1人いたと言う。「クリス・ワイツ監督はヴァンパイアと狼男を掛け合わせたような風貌だ」とシーンは語る。「ヴァンパイアのように彫りの深い顔でありながら、狼男のように筋骨たくましく、毛深い。だから神話の世界の生き物がセットを動き回っているかのようだったよ(笑)」
シーンは普通に話す声よりも甲高く、はっきりした声で、アロにふさわしい独特な声を生み出した。監督は、シーンと最初に役について話し合った内容が土台となり、そのイントネーションが生まれたのではないかと語る。「実際アロは三千歳だ。英語が母語ではない。だから考えながらの話し方と言えるかもしれない。すごく上品で愛らしい人だが、とてつもなく危険な男でもある」 ヴォルトゥーリ族でおそらく一番怖いのがジェーンだろう。そのジェーンを演じるのが、ダコタ・ファニングだ。「これまで悪役を演じたことがなかったの。でも今回は悪い女の子というか、ヴァンパイアを演じる。本当に楽しかったわ」とファニングは語る。「それに私は原作の大ファンなの。シリーズ4冊を1週間ほどで一気に読んでしまった。だからこの作品に出てほしいと言われて大喜びしたわ」肉体的な変身も楽しかったようだ。「赤いコンタクトレンズをはめたんだけど、かっこよかったし、実際全く違った風に見えるの」とファニングは語る。
クリステン・スチュワートはダコタ・ファニングについてこう語る。「ダコタはまさにジェーンのように、ゾッとするくらいすごい子。あれほどインパクトのある役者はいないわ。近寄れない存在感があるの。でも彼女は最高の若手女優よ。共演できてとっても興奮したわ」
狼の群れ
クリス・ワイツ監督は、狼族を兄弟のようだと称する。「単なる仲良しグループではない。自分たちの土地、自分の部族、必ずしも自分たちを理解してはくれない周囲の人間までも守ろうとする固い絆で繋がれた仲間だ」と語る。
ストーリー上は、キラユーテ族の狼はヴァンパイアから身を守るために進化した。一族の土地が脅かされるまで、狼の特性は眠っていた。運命で選ばれた者に選択の余地はなく、変身も自分のコントロールはほとんどきかない。実在のキラユーテ族に、狼に変身する伝統はないが、伝説によると、キラユーテ族は人間に進化した狼が祖先と言われている。部族の名前である「キラユーテ(Quileute)」自体が狼を意味する「クウォーリ(Kwoli)」に由来していると言われている。
チャスク・スペンサーは、穏やかで自信に満ちた狼族のリーダー、サム・ウーレイを演じる。「サムはまず部族を守ることを優先する。それがサムの役目だ。必ずしも望んでいたわけではないが、彼はその役に選ばれたんだ」とスペンサーは語る。
狼男を演じる役者には皆、ネイティブアメリカンの血が流れている。スペンサーの場合はラコタ族(スー族)、ジャレド役ブロンソン・ペルティエはクリー族の混血、エンブリー・コール役のキオワ・ゴードンはワラバイ族、キル・アテラ役のタイソン・ハウスマンはクリー族、ポール役のアレックス・メラスはプレペチャ族(タラスコ族)という風にだ。
メラスはポール役の役作りで自分の生い立ちが大きく役立った。「狼集団を通して、居留地のネイティブアメリカンがどんな感じか、垣間見ることができる。特に先住民のコミュニティは家族同然で、狼男のチームも同様だ」とメラスは語る。「僕らの部族はキラユーテ族のように漁民だった。オーディションの前に、僕は祈り、この部族を描く赦しを求めた。過去・現在・未来の人々に敬意を表するのは当然さ」
輝く新月 ニュームーン
2009年3月にバンクーバーでクランクインした撮影は、イタリアの城壁に囲まれた古い都市、モンテプルチアーノでクランクアップを迎える。カナダのブリティッシュコロンビア州の暗い夜と神秘的な深い森と、トスカーナ地方の輝くような自然の色彩。この対照的な2つの都市が作品世界を存分に伝える。 「太平洋側北西部の光はすごく拡散して冷たい感じがする。その中に、美しい色が豊かに存在し、僕らはそれを最大限にカメラに収めたかった。夜の森や陰鬱な暗さなど、影も重要だった」とクリス・ワイツ監督は語る。「それがトスカーナの光となると大きく違う。暖かみがぐっと増え、文字通りに太陽が燦々と降り注ぐ。衣装の色も引き立つし、建物も違う。モンテプルチアーノは中世の建物も残しつつ、ルネッサンス建築で知られる」とワイツは語る。
美術のデビッド・ブリスビンは監督と綿密に打ち合わせ、この作品独特の色彩を生み出した。「監督はどんな色彩にしたいか明確なコンセプトを持っていて、ラファエル前派の絵画のように、自然な中に鮮やかな色を引き立たせる感じで展開させていった」とブリスビンは語る。
それについてワイツは「どんな絵画が今回の作品の世界に合うだろうか考えていた。それで物語を描いたラファエル前派の作品だと思ったんだ。ラファエル前派の作品はどれも物語、情緒、愛と喪失、悲しみと憧れを強く描き出す。詩人のアルフレッド・テニスンや感傷的な時代が付随してくる絵画だ。宝石のような色彩パレットも特徴的だ。その 色使いは前作とは異なるが、原作のシリーズ2作目の雰囲気にはぴったりだろうと感じた」と振り返る。
ヴォルトゥーリの世界
原作ではヴォルトゥーリ族は、イタリアのトスカーナ地方に実在するヴォルテラという古い都市に住んでいる。ブリスビンは振り返る。「ヴォルテラの世界を再現するのに、監督は建物の古さが大事だと考えていた。実際、モンテプルチアーノは中世の町で、広場や市庁舎の位置関係から、ちょうど左右対称なショットが撮れる。特にそれが決め手となって、モンテプルチアーノに決まった」
また、トスカーナの有名な建築物からたくさんのデザインが借用できた。「ぴったり合う特定の建物があったわけではないが、トスカーナのさまざまな大聖堂や教会で使われていたグリーンと白の大理石の縞模様のモチーフを使った。トスカーナの中世やルネッサンスの建築には豊かさがあり、その後に建てられた成金趣味のような過剰な建築もある。僕らはそうした建築に大いにイマジネーションを刺激されたんだ」
衣装デザイナーのティッシュ・モナハンは、ヴォルトゥーリ族の優雅な衣装で、セットを補完する役目を任された。「監督から伝えられた衣装のポイントは、ヴォルトゥーリ族はとてもエレガントだということ」とモナハンは語る。「そこで18世紀を参考に、1790年頃に広がった長く細身のシルエットを採用したの。劇中21世紀のヴォルトゥーリ族が登場しつつ、18世紀の姿もフラッシュバックで現れるの。だから21世紀の彼らはできるだけ暗めの衣装にした。特にアロについては一番の権力者なので、一番暗い色の衣装にしました。そして18世紀の場合は、逆にアロにできるだけ明るい衣装を着せた。三角の色系統の頂点になるような色味を使い、アロに目が行くようにしました」
狼族の世界
ヴォルトゥーリ族のエキゾチックな雰囲気に対し、古代キラユーテ族の狼男は21世紀の最新技術でスクリーンに登場する。「本作の重要な要素のひとつがCGキャラクターだ」とプロデューサーのウィック・ゴッドフレイ。「原作に書いてあるような馬ほどの大きさの狼を登場させるには、CGを使うしか手段はない」 ワイツ監督は『ライラの冒険/黄金の羅針盤』(07)でチームを組んだスーザン・マクレオドに特殊効果の監修を頼んだ。「おそらく狼が脚本の中で一番セクシーじゃないかしら」とマクレオドは話す。
本作の狼は、視覚効果のパイオニア、フィル・ティペットが立ち上げたティペット・スタジオで作られた。「原作の描写にできるだけ忠実に作ろうと心がけた。狼男とは言っても今回は人間から4本足の狼に優雅に変身するのだから」マクレオドは続ける。「より本物の狼に見えるよう撮影前に役者たちの画像データをコンピュータに読み込んでおくことで、撮影中に狼へ変身させることができたのよ」スキャン処理は、役者にとっては驚くほど簡単だった。アレックス・メラスは語る。「リンゴの箱の上に立たされて、大きな装置が上がったり下がったりするだけだった。その後モニター画面に自分の体が完璧にスキャンされて映っているのが見えた。その作業の早さに驚いたね。変身の様子を例えるならポップコーンが最適かな。映像がパーンと現れて、するともうそこに狼がいるんだから」
しかし、それは視覚効果チームにとってほんの序の口にすぎなかった。「コンピュータ上では、狼を内側から作っていったの」とマクレオドは語る。「まず骨組みを作り、関節を動くようにした。その上に曲げられる筋肉をつけ、それから皮膚と毛をかぶせた。擬人化された感じのない本物の狼の外観と動きを作りたかった」
「ティペット・スタジオの人たちは実際に狼の保護地区まで足を運び、ビデオにたくさんの狼を撮ってきて、さらにインターネットでも探しうるかぎりの資料を当たった」とマクレオドは語る。そして撮影中には役者の目安になるように、いろんな形やサイズの狼の代役も用意した。「ぬいぐるみのような立体的なものから等身大の紙の切り抜きも使いました。耐久性があって、ポーズが作れ、撮影中にきちんと並べられるものよ。だから狼を配置させたアニメーター用のテンプレートを撮ることができた。それにCGの狼がしっくりと画面になじむような照明を当てるために毛皮も使ったわ」とマクレオドは語る。
ステファニー・メイヤーの原作の描写や雰囲気に忠実であるよう細かなことにもこだわる姿勢は、製作全体を通して一貫していたとワイツ監督は語る。「本作は前作の世界をさらに広げ、『エクリプス』へと繋ぐ壮大な神話になっている」
-- プロダクション・ノート END --
|
|