物語の構成
各巻ごとにホグワーツ学校での1年間の様子が描かれ、第1巻でハリーは11歳(ホグワーツ1年生)、2巻で12歳(同2年生)というように、巻が進むごとに主人公は1つずつ年齢と学年を重ねていく。 物語は7巻で終わるが、各巻それぞれ完結しているため、1冊ごとに単独で読むことが出来る。
ハリー・ポッターの舞台
物語の中では、魔法使いの血が全く流れていない人間は「マグル(非魔法族)」と呼ばれ、世界はマグルの住む「非魔法界(マグル界)」と「魔法界」に分かれている。 二つの世界は隣接しているが、魔法使いは注意深く生活しており、普通のマグルは魔法使いの存在に全く気づいていない。 マグルに見られたくない魔法界の建物には「マグル避け呪文」が掛けられ、魔法や魔法生物を目撃された場合は忘却魔法を唱え、マグルの記憶を修正しているからである。
ハリーが学ぶホグワーツ魔法学校は、イギリスのボーディング・スクールをモデルにした全寮制の学校で、創立者の名前のついた4つの寮に分かれている。入学式の際に「組分け帽子」が生徒を組分けし、在学中は寮生が家族代わりとなり上級生が下級生の面倒を見ることになっている。
魔法使いの世界にも人種問題があり、一部の差別的な魔法使いはマグルの血を下等と見なし、その血の入った魔法使いを「穢れた血」と蔑視している。 反対に、魔法使いの両親から生まれ、先祖にマグルのいない(と言い張っている)魔法使いは「純血」と呼ばれ、「純血」の中にはそれを鼻にかけている者が多々存在する。
ハリー・ポッターの宿敵ヴォルデモートは、そのような差別主義者や野心家などを集め、「死喰い人」というアンチ・マグルの集団を結成。魔法界の支配を企んでいるのである。
(詳細は「魔法界」、「ホグワーツ魔法魔術学校」、「純血」、「ヴォルデモート」、「死喰い人」、「闇の魔術」の項でどうぞ)
おもな登場人物
★ハリー・ポッター
主人公の魔法使い。丸いメガネに緑の目、痩せた少年。1歳のときに、最強の闇の魔法使い「ヴォルデモート」に両親を殺された。ハリーもそのとき襲われたが、母親が自らを犠牲にして彼を守ったため、額に稲妻形の傷を受けただけで、死なずにすんだ。その日以来、ハリーは死の呪文から生き残った唯一の魔法使いとして、魔法界の伝説の人物となった。勇敢で心の優しい少年。
★ロン・ウィーズリー
ハリーの親友。のっぽで手足が長い、赤毛の魔法使い。魔法界で由緒あるウィーズリー家の6男。素直で友情に厚い少年。面白いことを言って場を和ませる。ハーマイオニーを好きになるが、鈍感で自分の気持ちになかなか気づかず、周りをやきもきさせる。
★ハーマイオニー・グレンジャー
ハリーの親友。ふさふさの髪と褐色の目をした魔女。読書が好きな勉強家。成績は学年のトップ。面倒見がよく、すぐ熱くなるハリーの優秀な補佐役。ロンとの恋愛が注目される。
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1巻ハリー・ポッターと賢者の石
1歳の時に両親を亡くしたハリーは、唯一の親戚である母親の妹夫妻ダーズリー家に預けられ、意地悪ないとこのダドリーとともに育てられる。そして11歳の誕生日を迎えようとしたとき、ホグワーツ魔法魔術学校から入学許可証が届く。自分が魔法使いで、さらに魔法界では有名な存在であることを知ったハリーは、九と四分の三番線からホグワーツ特急に乗り込み、魔法学校へ旅立つ。
ホグワーツではロンとハーマイオニーという親友や信頼できる先生たちと出会い、徐々に魔法界の知識を身につける。クィディッチの才能を発揮し、代表選手となり試合で大活躍。そんなある日、ハリーたちは、ホグワーツに「賢者の石」が保管されていること、そしてヴォルデモートがその石を狙っていることを知る。3人は、ヴォルデモートに盗まれないよう、教授たちが掛けた「石」を守る魔法を次々と突破(三頭犬⇒悪魔の罠⇒空飛ぶ鍵⇒魔法使いのチェス⇒論理パズル)。最後の部屋でハリーを待っていたのは、クィレルに取り憑いたヴォルデモートだった。「石」は、覗いた人の心の奥にある望みを映すという「みぞの鏡」にガードされており、ハリーはヴォルデモートに襲われるが、危ない所でダンブルドアに助けられる。クィレルは死に、ヴォルデモートは逃走。このハリーたちの勇敢な行動が評価され、グリフィンドールは寮対抗杯を獲得する。
2巻ハリー・ポッターと秘密の部屋
魔法学校で一年間を過ごし、夏休みでダーズリー家に戻ったハリーは、意地悪な叔父、叔母に部屋に閉じ込められ餓死寸前。やっと親友のロンに助け出されるが、新学期が始まる9月1日、何者かに妨害され学校に向かう列車に乗り損ねてしまう。ホグワーツでは、邪悪な声が壁の中からハリーだけに囁きかけ、次々と犠牲者が出る。さらに「秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気をつけよ」の文字が壁に残され、ハリーに疑いがかかってしまう。ハリーたちはドラコ・マルフォイが「スリザリンの継承者」ではないかと疑い、ポリジュース薬を飲んでクラッブとゴイルに変身し、ドラコから話を聞き出そうと計画。薬の調合場所のトイレで、嘆きのマートルと知り合う。
そんな中、ハリーは「トム・リドルの日記」を手に入れ、会話することに成功。リドルはハリーを日記の中に誘い入れ、「秘密の部屋」を開けたのはハグリッドだと騙す。やがてハーマイオニーともう一人の女生徒が石にされ、犯人に疑われたハグリッドは、魔法使いの監獄「アズカバン」に送られてしまう。
ロンの妹ジニー・ウィーズリーが秘密の部屋に連れ去られ、ハリーとロンは「闇の魔術に対する防衛術」の教授ギルデロイ・ロックハートとともに、秘密の部屋に向かう。部屋で待っていたのは、トム・リドルだった。リドルはバジリスクを呼び出し、ハリーを襲わせるが、絶体絶命のハリーのもとに、組分け帽子を持った不死鳥フォークスが現れる。ハリーは帽子の中からグリフィンドールの剣を抜き出し、バジリスクを退治。その牙を日記に突き刺し破壊して、リドルを消し去った。
3巻ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
ハリーの13歳の誕生日、最悪のことが起きる。意地悪なマージおばさんが、ダーズリー家に泊まりに来たのだ。ネチネチとした嫌味に耐えかねたハリーは、家を飛び出してしまう。夜の騎士バスで向かった「漏れ鍋」で、凶悪犯のシリウス・ブラックがアズカバンを脱獄し、自分の命を狙っていることを知る。ホグワーツ特急で遭遇した吸魂鬼は、何故かハリーを震え上がらせ、ハリーは恐怖で意識を失ってしまう。学校では、新しく始まった選択科目「占い学」のトレローニー先生が、「ハリーは死神犬に取り憑かれている」と予言。そんな中、シリウスがホグワーツに侵入、ハリーは新任の『闇の魔術に対する防衛術』のルーピン先生から、吸魂鬼防衛術を学び始める。
本作からハグリッドが「魔法生物飼育学」の先生になるが、授業初日に使ったヒッポグリフのバックビークがドラコ・マルフォイを襲って怪我をさせてしまい、バックビークは処刑されることに決まる。傷心のハグリッドを見舞いに行く途中、ハリーたちの前に大きな黒犬が現れ、ロンは連れ去られてしまう。実は黒犬の正体はシリウス・ブラックで、ロンのペットのねずみのスキャバーズからハリーを守るために、ホグワーツに来たのだった。スキャバーズの正体が、シリウスに殺されたことになっていた裏切り者のピーター・ペティグリューである事を知ったハリーは、シリウスと和解。ピーターをアズカバン送りにしようとするが、そこにスネイプが現れ、シリウスは捕まってしまう。ハリーとハーマイオニーは「逆転時計」を使って時間を巻き戻し、シリウスとバックビークを救助。シリウスはバックビークに乗り逃亡したのであった。
4巻ハリー・ポッターと炎のゴブレット
魔法界の人気スポーツ、クィディッチのワールドカップが夏休みに開催。ハリーたちを夢中にさせた決勝戦の後、空に不吉な闇の印が打ち上がる。ホグワーツでは三大魔法学校対抗試合(三校対抗試合)が開かれ、ヴォルデモートが巧妙に仕掛けた罠によって、ハリーは代表選手に選ばれてしまう。絶体絶命の危機の中、親友のロンはハリーに嫉妬し、二人は喧嘩をしてしまう。寂しいハリーは年上の女子生徒チョウ・チャンに胸をときめかせるように。
三校対抗試合の第一の課題は、ドラゴンが守る金の卵を奪い取る、というもの。ハリーはクラムとともに1位になった。第二の課題は、水中人に囚われた人質を制限時間内に救出するというもの。ハリーは全員を助けようとしたので制限時間をオーバーするが、その高潔さが評価され第2位に。最終課題は、巨大迷路の中心にある優勝杯に最初に触れた者に満点を与えるというもの。ハリーとセドリックは同時に優勝杯に触るが、杯に魔法がかけられていたため、二人はリトル・ハングルトンの墓場に移動。セドリックはそこで、殺されてしまう。ヴォルデモートはハリーの血液などを使い、肉体を取り戻して復活し、ハリーを襲うが、ハリーは間一髪でホグワーツへ。ヴォルデモートが蘇ったことを魔法省大臣ファッジに伝えるが、全く信用されない。ダンブルドアはそんなファッジと決別し、ヴォルデモートを倒すため不死鳥の騎士団の仲間に召集をかけるのだった。
5巻ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
15歳のハリーは、邪悪なヴォルデモートの復活を魔法界に知らせようと大奮闘。しかし魔法省の陰謀で、彼を信じてくれたのは数人の支持者と反ヴォルデモー ト秘密同盟の「不死鳥の騎士団」のみ。さらにホグワーツには、魔法省のスパイ、アンブリッジが送り込まれてしまう。反抗的なハリーにアンブリッジは陰湿な体罰を与え、苦しめる。そんな中、ハーマイオニーは、ハリーを指導者にした「ダンブルドア軍団(DA軍団)」という学生組織を設立。DA軍団は、「闇の魔術に対する防衛術」の自習を秘密裏に始めるが、裏切り者の告げ口で、アンブリッジに発見されてしまう。ダンブルドアはその責任を取りホグワーツを離れ、代わりにアンブリッジが校長に。
夜な夜な夢にうなされるハリーはOWL試験の最中、名付け親シリウスが魔法省で拷問にあう白昼夢を見る。ハリーたちDA軍団は危険を顧みず救出に向かう。しかし、それはヴォルデモートが仕掛けた巧妙な罠だった。魔法省ではルシウス・マルフォイら死喰い人と戦闘に。不死鳥の騎士団のメンバーも駆け付けるが、シリウスはべラトリックス・レストレンジに殺されてしまう。そしてついにダンブルドアとヴォルデモートが対決。ヴォルデモートはハリーの体に取り憑こうとするが、愛に溢れたその体に長くは留まれず逃走。戦いの後、ダンブルドアはハリーに魔法界の予言の存在を明かす。それは「ヴォルデモートとハリーは、一方が他方の手にかかって死なねばならない。一方が生きるかぎり、他方は生きられない」という過酷なものだった。
6巻ハリー・ポッターと謎のプリンス
ヴォルデモート復活のせいで、夏だというのに冷たい霧が国中に立ち込める。夏休みのハリーの元にダンブルドア校長がやって来るが、その右手には異変が。新学期が始まり、元ホグワーツ教授スラグホーンが「魔法薬学」教授に、そしてスネイプが「闇の魔術に対する防衛術」教授に就任する。ハリーには、ダンブルドアとの個人教授も始まり、ヴォルデモートの過去を知っていく。ホグワーツの授業はますます難しくなるが、ハリーは「謎のプリンス」の本のお蔭で、突然「魔法薬学」の才能を発揮する。青春真っ只中のハリーに新しい恋人ジニーが出現し、ロンとハーマイオニーは仲違い。一方、ドラコ・マルフォイだけは、やつれた顔で、不可解な行動をとり続ける。
そんな中、ダンブルドアは、スラグホーン記憶を手に入れるという任務をハリーに与え、入手した記憶には、スラグホーンに分霊箱の作り方を質問するトム・リドル(ヴォルデモート)の姿があった。ダンブルドアは、ヴォルデモートが自らの魂を7つに分裂したと推測。二人はその一つが隠されているという洞窟に向かう。ヴォルデモートが仕掛けた魔法を破り、何とか分霊箱を手に入れるが、ダンブルドアは瀕死の状態に。そして戻ったホグワーツには、ドラコの手引きで死喰い人が侵入していた。
スネイプは、天文台の塔でダンブルドアを殺害。自分こそが「謎のプリンス」だとハリーに告げる。
さらに、本物だと思っていた分霊箱は偽物だったことが判明。ダンブルドアの葬儀には、大勢の魔法使いが参列し、その中でハリーは、ヴォルデモートとの最後の対決を覚悟するのだった。
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7巻のあらすじ ネタバレ注意
ハリー・ポッターは恩師ダンブルドアの望みどおり、ロン、ハーマイオニーの親友とともに、分霊箱探しの旅に出る。しかし、お子ちゃまロンは仲々成果の出ない苦しい旅の生活に音を上げ離脱。ハーマイオニーとハリーはふたりでゴドリックの谷に向かうが、ヴォルデモートの罠にはまり、ナギニに襲われてしまう。
間一髪で脱出するがハリーの杖は折れてしまった。
苛立ったハリーは曖昧なヒントや謎めいた遺言しか残さなかった校長に対し疑念を抱くように。さらにダンブルドアの若い頃の秘密を暴いた伝記本を読み、恩師に対して不信感を強めていく。
そんな中、ハリーは再び戻ってきたロンの助けを借りて湖でゴドリック・グリフィンドールの剣を手に入れ、ロンがスリザリンのロケットを破壊。そしてダンブルドアの遺品の『吟遊詩人ビードルの物語』に描かれていた、不思議な三角の目玉のような印の説明を聞くために、その印のペンダントを身に着けていたルーナの父親ゼノフィリウス・ラブグッドを訪問、魔法界の「死の秘宝」の伝説を知る。
それはハリーが持っていた透明マント、ニワトコの杖と蘇りの石だった。ラブグッド家で死喰い人に襲われた3人は逃げ出すが、すぐに人さらいに捕まり、マルフォイの屋敷の地下牢に監禁されてしまう。
ハーマイオニーがべラトリックスから拷問される中、ドビーが救出に登場。
しかし人質全員をビルとフラーの新居「貝殻の家」に連れ去る時に、べラトリックスの投げたナイフがドビーに刺さり、ドビーは命を落としてしまう。ハリーが自らの手でドビーを埋葬するが、その間にもヴォルデモートは最強の杖といわれるニワトコの杖を手に入れ力を増していく・・。
ハリーたちは、ヴォルデモートがハッフルパフのカップを分霊箱にしたと当たりをつけ、グリンゴッツ銀行へ。べラトリックスの金庫を襲撃してカップを手に入れ、最後の隠し場所のホグワーツへ向かう。しかしヴォルデモートも仲間を引き連れ学校を包囲し、最終決戦は刻一刻と近づいていくのであった・・
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7巻後の物語:2014年のハリー・ポッターらダンブルドア軍団の近況
ポッター家にまつわる17の新事実 |
ハリー・ポッターと賢者の石 |
1997年 |
スマーティーズ金賞
英国文学賞 児童書ブック・オブ・ザ・イヤー |
1998年 |
ヤング・テレグラフ紙ペーパーバック・オブ・ザ・イヤー賞
バーミンガムケーブル児童文学賞
シェフィールド児童文学賞
FCBG児童文学賞最優秀作品
ブックセラー協会・ブックセラー誌オーサー・オブ・ザ・イヤー賞
イタリア児童文学賞
1997-1998アン・スペンサー・リバーグ児童文学賞
米国図書館協会注目図書並びにヤングアダルト向きベスト・ブックス
パブリシャーズ・ウィークリー誌ベストブック・オブ・ザ・イヤー賞
ニューヨーク公立図書館ベストブック・オブ・ザ・イヤー賞
ペアレンティング・マガジン誌ブック・オブ・ザ・イヤー賞
ガーディアン・フィクション賞
カーネギー賞次点 |
1999年 |
米国ブックセラー・ブック賞
ウィーン児童文学賞
ドイツ児童書文学大賞
プリ・ソシエール賞
プリ・タンタン賞
学校図書館ジャーナル誌ベストブック・オブ・ザ・イヤー賞 |
ハリー・ポッターと秘密の部屋 |
1988年 |
スマーティーズ金賞
英国文学賞 児童書ブック・オブ・ザ・イヤー |
1999年 |
FCBG児童文学賞最優秀作品
スコットランド文化協会児童文学賞
ノースイースト文学賞
ノースイースト・スコットランド文学賞
米国図書館協会推薦図書並びにヤングアダルト向きベスト・ブックス
学校図書館ジャーナル誌ベストブック・オブ・ザ・イヤー賞
シェフィールド児童文学賞
ガーディアン・フィクション賞
ウィットブレッド児童文学賞候補 |
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 |
1999年 |
スマーティーズ金賞
カーネギー賞候補 |
2000年 |
ウィットブレッド児童文学賞
英国文学賞 児童書オーサー・オブ・ザ・イヤー
米国図書館協会推薦図書並びにヤングアダルト向きベスト・ブックス |
ハリー・ポッターと炎のゴブレット |
2001年 |
マーケティング・キャンペーン・オブ・ザ・イヤー賞
ヒューゴ賞(長編部門) |
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 |
2004年 |
WHスミス文学賞 ブック・オブ・ザ・イヤー
アンソニー賞 最優秀ヤングアダルトミステリー |
ハリー・ポッターと謎のプリンス |
2005年 |
米国ベストセラー賞 |
2006年 |
WHスミス文学賞 ブック・オブ・ザ・イヤー
英国文学賞 ブックオブ・ザ・イヤー |
※「候補」の記載のないものは受賞。
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First Page Date:2006年9月15日
Last Update:
2024年8月12日 2:46
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